掌編小説『妻の母が死んだ』です。

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　妻の母が死んだのは二週間前のことだ。病死ではあったが、寿命と言われても納得する年齢だった。
　先週から妻は和室を片づけている。納戸兼客間として使用している小さな和室だ。心境の変化だろう、とあまり気に留めずにいたが、今朝になって妻がおずおずと切り出してきた。
「ねぇ、あの和室に、仏壇置いていいかしら。小さい、インテリアのようなものでいいから。」
　これでようやく得心がいった。妻は義母の位牌を義母の家に置いたままにしていることを気に病んでいたのだ。義父は既に亡くなっているので、世話をする人はいない。
　自分はきちんとした仏壇を買おう、と提案した。幸い自分は三男だし、両親や兄姉は健在である。

　娘のすみれは昼ごろに起きてきた。寝ぼけ眼で和室を片づける妻を見る。
「おかーさん、今日夢で和室で笑いながらお茶飲んでるおじーちゃんとおばーちゃん見たよ」
そう呟いて、朝食兼昼食を、ゆっくり食べ始めた。




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娘の名前以外ノンフィクションという我が家の出来事。
父から聞いた話なので父目線で。私≠すみれです。

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